2月4日から開催グループエキシビション『ALLEGORY OF THEM』一林保久道、東春予、津田光太郎、Tim Kojima

一林保久道,東春予,津田光太郎,Tim Kojimaらによるグループ展を開催いたします.


「2本並んだ歯ブラシも一本捨ててしまおう」
あなたは、この一行からどんな景色を想像するだろう。ある1組のカップルの別れ、気の置けないパートナーと一緒に一つ屋根の下で暮らしていた二人が、別れてしまった風景が寂しげに漂う、そんな空気を含む一行となっている。より踏み込んで想像してみれば、どこかで出会った2人が、歯ブラシを2本並べるような間柄になるまでに至った時間の流れや、後ろ髪を引かれながらも気持ちを頑張って整理しようと強がる姿が浮かんでくる。
ここでは、「2本並んだ歯ブラシ」が意味すること、そして、そんな歯ブラシの片方の「一本捨ててしまおう」ということが意味すること、これら2つの意味がかけ合わさったことによって、ある1組のカップルの別れが浮かんでくる。この表現から感じ取れることは、単に「カップルが別れた」と表現するのではなく、2つの意味を掛け合わせて表現することで、登場するカップルのストーリーの立体的な奥行きではないだろうか。 
こういった表現方法は、寓意的表現といわれたりする。寓意的表現とは、A(別れ)という意味を表すために、意図して、直接的な表現をせずに、B(2本並んだ歯ブラシ)という意味のものとC(1本捨ててしまおう)という意味の掛け合わせ、そして、その掛け合わせを感じ取る受け手側の想像を通じて、本来目的とする意味のA(別れ)を受け手側に対して間接的に表現する表現方法のことである。直接的ではなく、間接的に表現することで生まれるこのストーリーの立体的な奥行きは、見る人の想像力によって異なってくる。例えば、実際に同じような経験がある人、同じような経験はないけど画面越しに見て仮想的な体験をした人、あるいは、人と付き合うなどの経験が全くない人など、彼らに応じて感じ方は異なり、きっとその想像のストーリーの奥行きや形は様々である。 
さて、なぜ今寓意をテーマにした展示を行うのか。現代社会は、情報に溢れている。溢れるほどの情報は世の中を便利に、より効率的にする一方で、想像するプロセスを簡略化した。かつては、足を動かして1年かけて獲得していたフィジカルな情報も今では、ワンクリックのおよそ数秒でその情報が手に入る。そして,その1年の時間の中で経験値が得られた。その時間が、経験が、想像力を育み、人間性を豊潤なものにしていった。 情報社会以前においては、ある情報にアクセスするためには、今以上に時間と身体性が必要とされた。だが、その時間と身体性の伴った経験から湧き出る想像力は、緻密で、鮮やかで、そして、深いものであった。
現代において、そんな想像力を獲得することは、難しくなっているのではないだろうか。つまり、便利になった反面、情報によって想像力が、侵食されていっているのではないだろうか。 そのような状況のもとでは、様々な意味で構成される寓意は想像力の誘発剤となる。

寓意的画面の中で、どんな意味が隠され、どんな意味が現れてくるのか、それを探しに行こうとするプロセスで想像力を掻き立てられる。掻き立てられることで、これまで以上に奥行きのある豊かな想像の世界を旅することができる。そんな鑑賞体験となることを期待している.

【参加アーティスト instagram アカウント】
一林保久道(Hokuto Ichibayashi)
[Touch Below↓]
東春予(Haruyo Higashi)
[Touch Below↓]
津田光太郎(Koutarou Tsuda)
[Touch Below↓]
Tim  Kojima
[Touch Below↓]
Poster Design & Merch : YANAGIBASHI lab. 
(@chinpin_market ,@kudooo1990)

Marco Gallery

ART GALLERY Located in Osaka,Japan

0コメント

  • 1000 / 1000